前回(2018年7月)の解決への手掛かりで、「ビジネスで成果を上げていくためには、アウトプット力が求められる」、その向上のポイントは3点、①「何を話すのか」ポイントを明確にする→②「どのように話すか」整理する→③「話に情報を流し込む」、という流れで組み立てるアウトプットのための思考法についてお伝えした。それは、伝える内容に“明確さ、簡潔さ、インパクト”が重要というものであったが、アウトプット力は、聞き手にとってわかりやすく伝えるための思考法と説明・説得のスキルとも言える。
7月の「解決への手掛かり」としては、以下の3つの道具(プラン)に絞って紹介した。
「時のプラン」 → 時間軸・時の流れに沿って
「場所のプラン」 → 場所の相違で
「三角形のプラン」 → 3つの視点・側面で
いずれも関連のある3つのキーワードで分割し話に流れを持たせ、聞き手の理解を助けるというものであるが、コミュニケーションには、単に伝える(説明する)ことに留まらず、聞き手を説得するという場面もある。自分自身にとって重要なコミュニケーションは、意外にも聞き手を説得していることが多いのではないだろうか。自分の意図したことを聞き手に伝え、理解してもらい、聞き手がこちらの意図した通りの行動をとる、そのコミュニケーションは、ほぼ聞き手を説得していることに近いものである。今回は、わかりやすく伝えるための3つの武器に加えて、さらに聞き手を上手に説得するための、新たな武器を3つ紹介したい。もちろん、聞き手を説得するためには、その手前で上手く伝える(説明する)スキルが必要であることは言うまでもない。
①「ズームレンズのプラン」 → 視野を変化させて (例:中心・中間・外側)
②「振り子のプラン」 → 2つの極論を示して (例:一方では、片方では、自分としては)
③「利点のプラン」 → 相手にとっての利点 (例:より遠くへ、速く、高く)
同じように3つの関連したキーワードをもとに、聞き手を説得する武器であるが、前回のプランとの違いは、自分自身が明確な意志(落としどころ)を持っている事である。何か細部のことに固執している意見や、極端に一般化した意見に反論する、といった場合に聞き手の視野を変化させて説得するスキルが「ズームレンズのプラン」である。「振り子のプラン」は、両方の意見を打ち消して自分の主張を通す“詭弁型”と両方の意見を活かすように「中」を取って説得する“外向型”の2つがある。また、提案等でアピールしたい場合は相手にとっての利点を示しながら説得する「利点のプラン」が効果的である。1つの意見でダラダラと話し、主張を通そうせず、色々な立場や見方を示す方が考え深さ、視野の広さが聞き手に伝わり説得力も増す。
前回より2回に亘ってアウトプット力向上のため秘訣、3つの関連付けたキーワードで分割して伝えるスキルをご紹介した。ビジネスでは、特にグローバルにおいても必須の武器になる。
“明確さ、簡潔さ、インパクト”を意識して伝える。そのポイントは話の内容に“構造”を持たせること、マジックナンバー“3”の表現である。
(パフォーマンス・コンサルタント 菊池政司)