2017年8月『マネジメント能力のアップ』“部下・若手に合わせた指導・育成”

 2017年度の新入社員が入社して4カ月、すでに2018年度の採用もほぼ内々定が出揃い、就職活動をしている学生を街で見掛けることも少なくなった。今後定年を大量に迎える企業は採用意欲も旺盛で、新卒採用も増加傾向である。

  このような時代に、新人や若手社員を部下に持つ管理者は、自分自身の経験と比較し、その指導の仕方について大いにギャップを抱えているのではないだろうか。現在の管理者は、「新人や若手社員は自分達の世代とは全く違う環境で育ち、価値観が違う」ことを認識しなくてはならない。

 日本生産性本部が毎年発表している新入社員の特徴とタイプであるが、2017年度の新入社員は「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうである。キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)できた。ネット・SNSを駆使して情報収集し、スマホ片手に東奔西走。はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向(早期退職)もある。モチベーションを維持するためにも新しいイベントを準備(やりがい、目標の提供)して、飽きさせぬような注意が必要。妙に納得できる現代の若者の特徴である。

  では、どのようにギャップを埋めていくのか。それは、新人や若手の部下を自分自身の経験から理想とする人材に無理矢理育てようとせず、組織の方針や定めた育成計画に基づいて、部下に合わせて、一つずつ目標やゴールを決めて丁寧に指導を行っていくことである。もちろん管理者自身も学ばなければならない。部下のマネジメントにあたっては、自分自身の管理スタイルや行動傾向、また管理者として部下からどう見られているかを客観的に知ることも必要である。

 弊社では、「マネジメント能力アップ」の解決策として、①パーソナリティ診断(自己理解)→②マネジメントの鍵となる要素(基本研修の受講)→③管理者行動診断(日々の言動の実際)を継続して学ぶ手段として提供している。

  まず、①パーソナリティ診断(自己理解)にはFacet5を活用する。この内容については、過去にも何度か紹介したので省略するが、自分自身を知り、より深い内省を促すためにもマネジメントにあたっては、まず自己理解を行うことが有効である。

 次に、②マネジメントの鍵となる要素(基本研修)であるが、部下を通して成果を出すためには6つの要素(理念、ビジョン、目標、フィードバック、支援、認める)を部下やメンバーと共有できていることが重要となる。

 最後に③管理者行動診断(日々の言動の実態)の実施である。部下からどう見られているかを知り、自らに求められる役割や組織の置かれた環境を踏まえ、職場においてマネジメント力を実際に発揮できているかを明らかにすることである。新入社員や若手社員とのギャップを埋めるということよりは、管理者自身が変わる。部下に合わせた指導、特に現代の新人・若手を組織の一員として上手に育てていくためには、管理者自身が学び、見方を変え、計画的な育成を実行していくことが求められる。   

                                                          パフォーマンス・コンサルタント 菊池政司