先般、母校の中学校の卒業式に出席した。私には三人の子供がいるが、彼らの中学校卒業式には一度も出席したことはない。この中学校の同窓会の役員をしていて、役割としての消極的な参加であったが、大変興味深い卒業式であった。
式場には「卒業式」ではなく、「卒業証書授与式」と記してある。まぎれもなく私が三十数年前に経験したあの「卒業式」であり、文部科学省の指導要領にも「卒業式」と書いてあるのだが、この式典は「卒業証書授与式」らしい。
生徒(卒業生、在校生)は普段通りの制服。しかし、担任の男性教師一人は白の羽織、もう一人の男性教師は白のスーツ、女性教師は袴姿・・・。主役は誰、生徒?先生?
生徒の「送辞」と「答辞」、特に答辞が素晴らしかった。未だ15歳の卒業生が、先生へ、仲間へ、在校生へ、父母へ、そして来賓や周囲の人たちへの感謝を述べ、次のステージに向って力強い決意を述べていた。
思春期の前半、小学生から高校生になる間の3年間が中学生であるが、肉体的にも精神的にも、大きな変化を遂げたことであろう。彼らの成長には、同級生や先輩・後輩、そして先生方の影響が大きいと思われる。時に、先生は最も身近な大人であり、彼らのモデルである。かの担任の先生方の「いでたち」や「その姿勢」が子供たちの方向性に影響をあたえるのではないか、と危惧した。また、日頃の学校側からの話や、この日の校長の挨拶から、特に強調される“優しさ”や“平和教育”に少し違和感を覚え、生きる上での規範や逞しさ、鍛練、志、も大きな教育の柱に据えて欲しいと感じていた。母性が強すぎ、父性が弱い、両者のバランスある教育が大切だと願う私であったが、「答辞」を述べた生徒の凛とした姿、逞しさに感動した。
いい一日だった・・・。
ラーニング・システムズ株式会社
代表取締役社長 高原 要次