2013年4月 “「答えを教えてください」シンドローム”

  “最近の若者は・・・”という表現は、エジプトのパピルスにも書かれているので、太古の昔からの常套句かもしれない。しかし、敢えて言わせてもらうが、“最近の若者は、すぐに答えを教えてもらいたがる、自分で考えようとしない、困ったものだ!”。ビジネスの場面でも、社会生活の場面でも、“何をすればいいですか?”、“どうすればいいですか?”、“言ってもらえばやりますから・・・”と、短絡的に答えを知ろうとする。それを彼らは効率的だと思っている。 この「答えを教えてください」シンドローム(症候群)は、効率的なのではなく、思考することを放棄した、稚拙な問答でしかありえない。

  複数の中から自分の責任でどれかを選択する、あるいは独自の案を複数出す、という習慣が乏しい。ある一つのことを他の要素も考えずに行う。上手く行った時はいいが、上手く行かなかった時は、他人のせいにし、時として脆くも砕け散る。人生は、上手く行かないことの方が多く、知らないことばかりなのに。ビジネスは、いつも状況が変化しており、相手の意向に沿わなければ、進まないのに。

  カーナビで目的地をセットすれば、自動的にルートを案内してくれて、その場所に連れていってくれる。わからないことがあったら、インターネットで検索すれば、答えを表示してくれる。その答えを切り貼りすれば、一応レポートの体裁は整う。

  しかし、人生にナビはない、自分で人生を切り拓くのである。敢えて言えば、自分の人生のナビゲーターは自分である。ビジネスの答えはひとつではない。いくつもの要素を考え、組合せ、予測し、仮説と検証の繰り返しの中で、ベストな答えを自分の責任で選ぶのである。

 若者よ、時には、ナビもネットもスマホも使わず、日本の地図を頭に入れて、時刻表を見ながら旅をするのも、いいものだぞ・・・。

                                                               

                                ラーニング・システムズ株式会社

                                  代表取締役社長 高原 要次